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「男はつらいよ」全48作を完全制覇への道!!
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第6作 「男はつらいよ」 純情篇  1971年(昭和46年)
 
06.jpg
第6作は主題歌が流れる時の
オープニングのシーン!
ちょっと異質なオープニングシーンで
柴又界隈の空撮である。
なぜ空撮なのか?
本篇の冒頭で寅さんが旅先にいるからだろうか?
もしかしたら単に空撮が流行っていたからだろうか?
この作品の空撮については謎である。 
旅先の食堂でうどんをすする寅さん!
食堂のテレビで偶然目にした番組は、
柴又が登場する「ふるさとの川 ~江戸川~」であった。
帝釈天と御前様がテレビに映り、続いてだんご屋の紹介で「とらや」が映った。
だんごを作るおいちゃんも映り、最後は江戸川土手の橋に座るさくらが映った。
それを見た寅さんは思わず「とらや」に電話を入れ、自分の居場所を教えた。

寅さんは五島に行く為に長崎で船を待っているが、船は明日まで出ない。
寅さんは近くに座っている子連れの女・絹代(宮本信子)に何気なく声を掛けた。
絹代は今晩泊まるお金が足りないので貸して欲しいという。
寅さんは絹代を同じ宿に泊めてやる事にしたが、
夜、お金を借りたお礼にと絹代が突然服を脱ぎ始めた。
絹代は宿代を体で払おうとしたのである。絹代に一言「自分にも同じぐらいの年の妹がいる、妹が同じことしたら・・・」と言いながら、それを制止する寅さん。
翌朝、寅さんは絹代といっしょに五島まで行き、絹代を実家まで送った。絹代は訳ありで亭主から逃げ、実家の父親(森繁久彌)のところへ戻ってきたのである。
経緯を父親に話すが受け入れてもらえない絹代。絹代の父親の話を聞いている内に寅さんの方が家に帰りたくなり、そのまま次の船に乗る事となった。
この作品の小さなテーマとして親心が挙げられる。
絹代の父が、自分の娘に優しくしてやりたい気持ちを堪えて先々の事を考えて厳しい発言をしている。
ラストシーンの娘からの電話で堪え切れずに父親(森繁久彌)が鼻から涙を垂らしている事で娘を慕う親心がうかがえる。

「とらや」では遠縁にあたる夕子(若尾文子)がこれまた訳ありで亭主と別居して「とらや」のニ階に下宿していた。
そこへ帰ってきた寅さんが自分の部屋を貸した事に腹を立て、おいちゃんと揉めてまた旅に出ると言い出した。
しかし、ニ階から降りてきた夕子の顔を見たとたんにその気持ちはどこへやら(^^)
一転して旅に出るのはやめ、同居する事となった。寅さんはすぐに夕子といっしょに帝釈天に行くなどし、どうやら夕子に一目惚れしてしまったらしい。
夕子が風呂場に入り、ガラス越しに上着を脱ぐところが目に入った寅さんは、それから全く落ち着きをなくしてしまう。
物音がするたびに一瞬風呂場に目をやり、またすぐに視線を変えてしまう。
たまらなくなり、茶の間にいるおいちゃんに「何考えてんだ!」と食って掛かり、おいちゃんに「お前と同じ事だよ」と言われる。
実はおいちゃんは「今日も日が暮れたなぁ」と考えているだけだったのに、「お前と同じ事だよ」と言われた寅さんは思わずおいちゃんを「汚い男だねぇ」と罵る。
結局は自分のスケベ心を自分でばらしてしまった。このシーンは何度見ても最高に傑作である。

夕子が体調を崩して寝こみ、髪の毛をボサボサにしたヤブ医者の山下医師(松村達雄)が往診にやってきた。
診察の時に体のどこを見た見ないという話になり、寅さんと山下医師が少し揉めたが夕子の体調はすぐに良くなった。

以前から独立を目指していた博がそろそろ具体的に動き出した。
どこかでその噂を聞きつけてきたタコ社長が唇を目一杯とがらせておいちゃんに愚痴をこぼした。
博が独立について寅さんに相談したところ、すぐにやれと言う。
博がタコ社長への義理を気にしていると察した寅さんは、自分がタコ社長に掛け合ってやるという話になった。
寅さんがしゃしゃり出るとロクな事にならないが・・・。
すぐにタコ社長の家に話をつけに行った寅さんだが、逆にタコ社長に泣きつかれてしまい、今度は博を何とか説得してやるという話に展開した。
タコ社長が、博に辞められた場合の痛手を語る時の心境は、まさに町工場の経営者の苦悩である。
博を説得してくれと寅さんに頼む時のタコ社長の顔には絶望感さえ漂っているが、
寅さんが引き受けてくれるとなった時に、自分の子供に「蒲焼買って来い、400円のヤツだぞ。寅さんにご馳走するから」、
と言った時のタコ社長の後ろ姿には安堵感が滲み出ている。やはりこの辺はさすがに名役者!太宰久雄さんである。
しかしこの様な重要な問題解決を寅さんに託すところはやはり喜劇であり、そこが「男はつらいよ」の見所でもある。
翌日、前夜の事が気になったタコ社長は、遅寝をしている寅さんをたたき起こし、「あれから話はどうなったか」と尋ねた。
寅さんは「話はついた」と言いながらまた寝てしまった。
それを聞いて安心して帰るタコ社長。続けて博も寅次郎のところへやってきて、「あれから話はどうなりましたか」と尋ねた。
そこで寅さんは博にも「話はついた」と言ってしまった。実は何も話をつけていないにもかかわらず、ニ人共に「話はついた」と答えてしまったのである。
タコ社長にしてみれば博が会社を辞めないというこんな嬉しい話はなく、早速その夜みんなでお祝いの席を設けようと言い出した。
それを聞いた博はてっきり自分の門出を祝ってくれての事だと勘違いし、大喜びしたのである。
そして宴会の席、博とタコ社長はお互いに「ありがとう」と言い合いながら、自分がどうして「ありがとう」と言われるのかお互いに意味がわからなかった。
博が今まで世話になった礼を言ったところで話の食い違いがばれてしまい、怒りの鉾先はもちろん寅さんに向けられた。
当たり前である、お互い共都合のいい解釈をしていたのだから・・・
タコ社長と喧嘩を始めた寅さんを尻目に、頭にきた博は一人で家に帰ろうとした。
ところがさくらの話であてにしていた独立資金が父親から支援してもらえなくなったと聞き、その場であっさり独立を諦めてしまったのである。
博はタコ社長に詫びを入れ、この件は一件落着となった。

しばらくして寅さんの体の具合が悪くなった。まぎれもなく夕子への恋の病である。
ヤブ医者の山下医師が往診に来たが、病人が夕子ではなく寅さんだとわかると寅さんの顔も見ずに、「寅なら大丈夫」と言って帰ってしまった。
食欲もなく水しか飲まない寅さんであったが、夕子が「元気になったら江戸川に散歩に連れて行ってほしい」と言ったとたんに元気になり、
翌朝6時に起きて朝風呂をあびる始末。床屋に行った後で夕子と江戸川に散歩に行き寅さんが夕子に得意のアイツキ仁義の口上を披露している。
寅さんの「わたくし、生まれも育ちも・・・」を聞いた夕子が寅さんを素敵だと誉め、寅さんは調子に乗ってどんどん口上を披露する。
しかしその直後に間接的表現で寅さんの気持ちを受け入れられないと丁寧に振られてしまった。
これは寅さんを傷つけまいとする夕子の最大限の優しさであるにもかかわらず、寅さんは自分の事とは気がつかない。
振られたにもかかわらず、それが自分の事だとは気がつかない寅さんは、何を勘違いしたのか山下医師の所まで行き、「夕子さんは諦めるように」と文句を言ったのである。

そして遂に来るべき時が来た!!!
夕子の亭主(垂水悟郎)が夕子を迎えに「とらや」までやって来たのである。
亭主の迎えに何も言わずに従う夕子。夕子は所詮は人妻。
いつかはこうなる事がわっかていた寅さんではあるが、気持ちは寂しさで一杯である。
この気持ちにケリをつける為、寅さんは再び旅に出て行くのであった。

柴又駅での寅さんとさくらの別れのシーンがある。
48作中、柴又駅での別れのシーンは何度もあるが、この作品が柴又駅での別れの初めての作品である。
このシーンでは寅さんが16歳の時に家を飛び出した時のさくらとの思い出話が語られる。
この柴又駅での別れのシーンこれから何度も出てくるが、さくらだったりマドンナだったり色んな人との別れのシーンがある。
その時、その時で色んな深い意味がある見逃せないシーンだ! 
もう一つの印象的なシーンとして、寅さんに対して怒ったさくらが「とらや」から帰ってしまうシーン。
さくらを追いかけ、帝釈天の山門の前で自分の本音を語る寅さんの話に思わずさくらが吹き出してしまうシーンに兄弟愛のようなものを感じる。

もう一つ注目したい点が!
ヤブ医者役で登場している松村達雄さん。
山下医師としてニ度「とらや」に顔を出し、おいちゃん役の森川信さんとのツーショットシーンもある。
数作後からこのヤブ医者役の松村達雄さんが新しいおいちゃん役になろうとはこの時点で誰が想像できたであろうか。
後で考えればこの作品で二人が顔を合わせたのは何かの暗示だったのだろうか。

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